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彼の体は、私が今まで経験したことのない感触だった。
筋肉質だから、痩せているから、とかそういった類いの話しじゃない。
なにこれ?
布を介して触れているのに、吸いつくような感触。
肌が合うというのは、こういうことだろうか。
不思議な感触に私が驚いていると、彼は私に訊いてきた。
「君、サッカー好き?」
サッカー?
「いえ、ルールもよくわからないです。
サッカー、お好きなんですか?」
会話をするのも、私の仕事の一部だ。
経験上、患者さんが興味のある話をすると、気を許してくれて、施術も上手くいきやすい。
「いや、むしろ嫌い」
「そ、そうなんですか」
じゃあ、聞かないでよ。
会話はそこで途切れたが、私は無理に喋ろうとしない。
会話をガンガン振っていく人も中にはいるけど、私はそうしない。
私が患者さんだったら、そうしてほしいから。
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