1178人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
試合が終わった後、ロッカールームの雰囲気は明るかった。
難しい試合を勝ち切ったんだから、当然だろう。
「先輩、いいゴールでしたね」
「お前のパスのおかげだよ」
「まぁ、それもちょっとはありますかね」
ちょっとどころじゃない。
あんなピンポイントでパスを出せる奴は、世界にだって数多くいない。
「こっからですよ。
俺のアシスト数伸ばしてください」
「ああ」
頼もしい後輩だ。
「そういや、珍しいパフォーマンスしてましたね。
誰か知り合いでも来てたんですか? 」
鋭い奴。
そんな余計なことは気付かなくてもいいんだよ。
「ちょっとな、最近ずっと世話になってた人が来てくれてたから」
「それって、もしかして怪我の……ですか? 」
「ああ」
「へぇ、じゃあ調子が良くなったのはその人のおかげですか?」
「そうだよ」
「じゃあ、お礼言わないと」
「言われなくても言うよ」
「いや、俺も」
「なんでお前が礼言うんだよ」
「当然でしょ? 先輩の調子は、俺にとっても大事なことなんですから。
今度紹介してくださいよ」
「……機会があったらな」
わけのわからない理屈並べやがって。
最初のコメントを投稿しよう!