第2章

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試合が終わった後、ロッカールームの雰囲気は明るかった。 難しい試合を勝ち切ったんだから、当然だろう。 「先輩、いいゴールでしたね」 「お前のパスのおかげだよ」 「まぁ、それもちょっとはありますかね」 ちょっとどころじゃない。 あんなピンポイントでパスを出せる奴は、世界にだって数多くいない。 「こっからですよ。 俺のアシスト数伸ばしてください」 「ああ」 頼もしい後輩だ。 「そういや、珍しいパフォーマンスしてましたね。 誰か知り合いでも来てたんですか? 」 鋭い奴。 そんな余計なことは気付かなくてもいいんだよ。 「ちょっとな、最近ずっと世話になってた人が来てくれてたから」 「それって、もしかして怪我の……ですか? 」 「ああ」 「へぇ、じゃあ調子が良くなったのはその人のおかげですか?」 「そうだよ」 「じゃあ、お礼言わないと」 「言われなくても言うよ」 「いや、俺も」 「なんでお前が礼言うんだよ」 「当然でしょ? 先輩の調子は、俺にとっても大事なことなんですから。 今度紹介してくださいよ」 「……機会があったらな」   わけのわからない理屈並べやがって。
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