第2章

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車に乗って、電話を掛ける。 初めて掛けた電話は、やけにコール音が大きく聞こえた。 「はい」 出てくれた声は彼女のもので当たり前なのに、なぜかホッとする。 「今日は、来てくれてありがとう」 「見えてたんですか?」 「目はいいからね。 今からちょっと話したいんだけど、いい?」 「いいですよ、どうぞ」 電話で、と勘違いされたらしい。 いや、電話でも用は足りるんだが……。 「いや、電話じゃなくて……直接がいいんだ。 今、どこ?」 「駅の近くです」 「じゃあ、ロータリーで待ってて、すぐに出るから」 断られるのが怖くて、返事を聞く前に電話を切り、すぐにエンジンをかけた。
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