1174人が本棚に入れています
本棚に追加
*
ひとりになった寝室で、天井を見上げる。
彼は「君さえ良ければ、これからもよろしく」と告げて、私の部屋を後にした。
彼の言っていたことは、まるでおとぎ話しかなにかのようで、現実感がない。
だけど、そんな嘘をつく理由もない。
……ひとつだけはっきりしているのは、彼が求めているのは整体師としての私の手だということ。
薄暗い空間で、目の前に手をかざす。
悔しいけど……
繋がりは、この手だけ。
思わず、乾いた笑いが込み上げた。
だって、自分の手に負けるなんて、こんなバカバカしいことって他にある?
・
・
・
……決めた。
最初のコメントを投稿しよう!