第3章

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* ひとりになった寝室で、天井を見上げる。 彼は「君さえ良ければ、これからもよろしく」と告げて、私の部屋を後にした。 彼の言っていたことは、まるでおとぎ話しかなにかのようで、現実感がない。 だけど、そんな嘘をつく理由もない。 ……ひとつだけはっきりしているのは、彼が求めているのは整体師としての私の手だということ。 薄暗い空間で、目の前に手をかざす。 悔しいけど…… 繋がりは、この手だけ。 思わず、乾いた笑いが込み上げた。 だって、自分の手に負けるなんて、こんなバカバカしいことって他にある? ・ ・ ・ ……決めた。
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