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沈黙を破ったのは、彼。
「おばさんに行けって言われたから、断りきれなくて」
確かに押しの強そうな女性だったな、と姿を思い浮かべる。
「押しが強そうな方ですもんね」
「そうなんだよ。悪い人じゃないんだけどね」
ありがた迷惑ってやつね。
「……ねぇ、お姉さんはマッサージ上手な人?」
うわ……プロに向かって失礼な人。
普通聞かないでしょ?
「どうでしょう?
あんまり比較できるものではないですからね。
相性もありますし」
さすがに私は下手な方だとは言えない。
「相性ね……そういうのもあるのか」
そういう彼は、さっきまで私が触れていた肩の部分を自分の手で触れる。
もしかして、私の施術が気に入らない?
「違和感ありますか?」
「いや、ないよ。
続けて」
目尻が下がり、ヒゲで覆われた口元が、少し動いた気がした。
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