第3章

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……サッカー選手だから、かな? 多くの人に触れてきたけれど、プロアスリートと呼ばれる人たちに施術を行ってきたことは、ふたり以外にいない。 もしかしたら、そういう人たちはみんな、こんな風に感じるのかもしれない。 施術が終わると、確かめるように手で身体に触れる高槻さん。 「へぇ……佐藤さん、当たりだね」 「あたり? どういう意味ですか?」 「そのまんまだよ。 佐藤さんは、俺にとって当たり。 他にも知ってる中にひとりだけいるけど、あの人とはまたちょっと違う感じだな」 自分の中ではひとり納得しているようだけど、私には伝わらない。 なんだか、この人との会話は上手く繋がらない。 「それ褒めてるんですか? 」 「もちろん! 」 「そう……ですか。 なにか、他の人とはちがいますか?」 「うん、全く別物だよ。 比べものにならない。 たぶん相性がいいんだろうな。 たまにいるらしいよ、こんな風に相性がいい人って」 ……相性、ね。 それは、彼が感じているものと同じようなものなんだろうか。
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