第3章

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* 日曜日の朝。 仕事が休みな私は、ベッドの上で高校からの親友に電話する。 発信音の後に、コール音が鳴った。 繰り返し流れるその音を聞きながら、回らない頭を回す。 どこから話そう。 どう言ったら、信じてもらえるだろうか。 なんて、言えばいい? 「お願い。 相談に乗って」 電話の向こうで声がする前に、私は言っていた。 「なに? どうしたの?」 向こう側では親友が何事かと声のトーンを下げる。 「できれば会って話したい」 「なにその殺し文句。 わかった……じゃあ、今日昼過ぎに家に行くよ。 家のほうがいいでしょ?」 「うん」 「じゃあ、切るよ?」 「うん」 「じゃあ、また後でね」 あっさりと切られたケータイを眺めて、また頭の中を回し始めた。
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