第1章

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「井口?お前、井口だろ?」  え?  コンビニで懐かしい名前を呼ばれた。今はもう誰も呼ぶ事のない母方の性。  振り返ると今時って感じのあんちゃんが立っていた。 「…え?!もしかしてヒロ?!」 「よぉ」  中学校を卒業してからヒロと会うのは初めてで、一瞬誰か分からなかった。  あの頃と声も違うし、背だって随分と大きくなってるし…って、それは俺もか。  でもあんまり俺は顔変わってないし、案外分かりやすいかも。  変わったのは名字だけ。  …笑えないか。 「元気にしてたかよ?」  ヒロはダボダボとしたズボンに手を入れて、大股で歩く。 「元気だよ。ヒロは?って、聞かなくても元気そうだね」
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