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多分、
社会通念上、
許されないことだからという倫理感より、
慎一郎の父である『夫』を愛するだけで良かったのだろう。
『二号』『妾』と呼ばれることなど何とも思わなかったはずだ。
後ろ指指されることも、
きっと。
が、
慎一郎に対しては、
すまなさや後ろめたさがあった。
決して人には詫びたりしない母の「ごめんなさい」は、
心は動かされないけれど、
嘘のない言葉として慎一郎の中に染みていった。
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