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お母さん、
謝らないで、
僕は今のままで充分なんだ、
と子供らしく言えればよいのに、
と子供心に慎一郎は思う。
しかし、
低学年ながら、
父の影響もあって同学年の子より弁が立つ方だった彼は、
父の口調を真似るように小賢しく言った。
ほう、
と母は溜息を一つ。
「慎一郎君、
お父様に言い方がそっくり」
「仕方ないじゃないか、
親子なんだから」
何気なく返した言葉に、
自分でも驚く。
そう、
僕達は家族だ、
世間はどう思うかわからない、
けど、
自分たちにはこれが平凡で幸せな関係。
世間一般と比べる意味などあるものか。
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