-1- 慎一郎 十三歳

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「今度、 遠出するときは前もって言ってくれないと。 僕、 テストの順位を落としたくないし、 宿題、 忘れたくないからね」 「そうね、 本当に、 気をつけるわ」 「どうだか」  母を真似て、 ホウ、 と溜息つきながら、 慎一郎は肩をすくめた。  子供らしく、 子供だから許される茶目っ気をこめて。 「今日はこれからどうするの」 「お菓子をね、 作ったの。 お茶と一緒に頂かない?」 「いいね」 「でも、 私、 シャチを見に行きたいわ」 「水族館の?」 「いやね、 見たいのは群れよ、 決まっているでしょ」 「頼むよ、 行くなら北海道止まりにしようね。 学校があるから」
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