-1- 慎一郎 十三歳

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【1】 承前  合気道の稽古が直前で中止になり、 まっすぐに学校から帰った昼下がりだった。  中学にも慣れた初夏の頃、 日差しは夏のものに近かった。 木戸を開けて庭を横切り、 向かう裏口。 普段は使わない道を使ったその日、 高遠慎一郎は開け放たれた窓の向こうに、 絡み合う男女の姿を見た。  性的なものに興味を持ち出す年頃だし、 この行為が何なのか、 わからない程子供でもない。 母が、 父に抱かれていた。  目一杯開かれた脚の間に父の胴を巻き込み、 背中に回された指が切なげに這い回る。  ほぼ全裸の母と、 下だけ裸身を晒す父。
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