-1- 慎一郎 十三歳

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 男根が緩やかに女陰を出入りする度、 漏れる声音も秘かな笑い声というより、 淫靡な色を放つ。  それらを一瞬で見て取った慎一郎は、 恍惚とした「女」の姿と母の顔に、 今まで見たことのない、 夢の中の女を見た。  とても美しくて愛しい、 慕わしい……  運命のようなものを感じた。  後ろ手に、 音を立てないようその場を去った彼だったが、 おそらく父は彼に気付いていただろう。  母は――わからない。  例え気付いていたとしても、 お互いに睦み合い耽る姿を晒すことは止めなかっただろう。  どこをどう歩いたものやら、 高鳴る心臓の鼓動を抑えることも出来ず、 閉め切った自室の扉の内側で、 彼は己の固くなった陰茎に手を添え、 拙い手付きでおそらく初めての自慰をした。
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