-1- 慎一郎 十三歳

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 その甲斐もあり、 美しいもの、 素晴らしいもの、 得難い経験や行く先々での人との出会いは彼の年齢の子供ではあり得ないくらい多い方だっただろう。 言葉も自然身に付くことになり、 後に外国語を習得するときに苦労することはほとんどなかったと言ってよい。  言い替えれば、 あり得ないくらい派手な生活だったわけで、 ご近所よりも(妙な家庭であることは充分認知されていた)子供の狭い世界では、 通っていた学校が国内有数の富裕層の子息が集まっていたとはいえ、 浮きまくっていたことは間違いがないようだった。
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