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『ニゴウのコドモ』が『二号の子供』と聞こえるようになった年頃、
併せて『妾の子』とも影で、
本人にわかるように言われるようになった頃、
慎一郎はすでに言って良いこと、
言わずに言葉を選んで言うこと、
言わずに心に納めることを区別できる年齢になっていたが、
あえて、
「二号の子供って、
何?」
と訊いた。
初めて質問したときと同じような、
学校から帰ってきて、
「ただいま」と言うのと同じくらい何気ない口調で。
「イチゴウの子供ではないということよ」
母は同じ問いに返した時と同じような口調で返す。
しかし、
言葉は続く。
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