-1- 慎一郎 十三歳 #2

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「俺はお前を弟とは認めない」  これが妻帯者である兄の、 弟への今後の対応を象徴していた。 疎ましくてならないと言うように再度拳を振るい、 さすがに三発目は第三者に止められたが、 親族はただ見ているだけだった。  簡単に受け入れてもらえるとは思っていなかった慎一郎も、 少なからぬショックを受けた。  殴られながら、 顔は似ても似つかない『兄』の声音や口調が、 父にそっくりなのには参った。 いやでも兄弟を意識してしまって辛かった。  通夜や葬儀には参列させてやる、 という本家の人間の風当たりを、 和らげてくれる人がいたことは慎一郎にとって救いだった。
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