-1- 慎一郎 十三歳 #2

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 社会的地位に見合った人脈が豊富で、 病床に慎一郎を招き寄せたのも彼らと知己を広め、 顔を覚えさせたい意向もあってのことだ。  道は慎一郎自身が切り拓くだろうし、 まだまだ高校生の彼にあるのは可能性だけだ。 けれど、 愛する人物を彷彿とさせる人間の存在は人に安心感と懐かしさ、 保護欲を喚起させることだろう。 いずれ後ろ盾として、 コネクションの担い手になってくれれば……。 人脈は偶発の上に作り上げられることもあるから、 多すぎて困ることはない。 父は人付き合いを好み、 専門家として頼りにされ、 友として愛されたので、 訪問客はひっきりなしに訪れた。 彼らも、 まるで形代のような友人にそっくりの息子に驚き、 目を細めた。
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