-1- 慎一郎 十三歳 #2

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 進路を視野に入れた受験準備に入っていた高校二年の時に、 父は病で倒れた。 余命は幾ばくもなかった。    その際、 父はあろうことか慎一郎の夢を封印した。  死期が近いことを悟った父は、 慎一郎を病室に招き、 次のことを宣告した。  籍を父側に入れること。  つまり次男として、 尾上家に入ること。  遺産相続人として名を加えるかわり、 母校である白鳳に留まり、 教職、 ひいては自分と同じ教授職を得る学者・研究者になること。  これらの条件を呑めば、 見返りにかかる費用は全面的に支援すること。  以上だった。
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