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母の時にも感じたが、
生きている人間は彼らの思いに引きずられてしまう。
背景に、
長男である腹違いの兄が、
まったく畑違いの世界で身を立てたため、
後を託する人間として慎一郎を頼ったのだった。
教授職が世襲性などと聞いたこともない。
が、
父はそれなりに名の知られた人物だったので、
彼の望みもわからないでもなかった。
尾上姓を名乗らせたいのも、
母を迎えられなかったことをせめて自分には、
という思いが伺えた。
さようなら、
僕の夢。
瞬時に頭に浮かんだのは夢への決別。
父には承諾の意を伝えた。
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