- 2 - 秋良 六歳 #2

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 元々、 女の子の憧れの職業だったし、 TVドラマの影響もあって志す同級生も多かった。  みんなは口で言っているだけ。 私は違う。 絶対なるんだ。 裕と慎一郎お兄さんの夢は私が叶える。  子供の頃の夢を叶えられる人間はごくひと握り、 実際に職に就けて職務に喜びを見出せる者は更に限られる。 人の夢を自分自身の夢として捉え直し、 先を見通せる者に、 拓かれる道がある。  適性だけではない、 自発的な思いの強さと本人の勤勉さが、 彼女に望んだ職を運んできた。  最初は慎一郎を追いかけていただけなのに、 巡り合わせはわからないものだ。
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