- 2 - 秋良 六歳 #2

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 慎一郎との接点を求めて始めたこともあった。  大小父もたしなんでいたという合気道の道場の門を叩いたのも、 稽古時なら同じ時間を共有できるから。 「秋良は慎一郎君の金魚のフンね」  慎一郎君のファンだものね、 と母は呆れ顔。  父は、 「変な虫がつくより余程良い」  と言い、 追い掛けられる慎一郎はひたすら苦笑顔。  ある頃から、 慎一郎は秋良の行動を拒絶はしないけれど、 受け止めるわけでもなし、 さりとて放置もしない、 その意志を表するように困った顔をするようになった。  迷惑かもしれない、 でも、 気づきたくないから。
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