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【2】 狡さと利己的
大変な事をしてしまった、
という思いとは裏腹に、
ばれないだろうか、
人に知られたら、
自分はどうなってしまうのだろうかという、
身勝手な思いも同居する。
利己的で狡い自分、
けれど心底申し訳ない気持ちもあって――
正直、
父の葬儀だというのに、
気持ちは亡き人では亡く、
自分がしでかそうとしたことばかりに向けられてしまう。
気もそぞろになっていたので、
周りの人間のことなど、
どうでもよくなっている。
ただ、
秋良の事ばかり気になっている。
彼女は、
気付いただろうか……親に話しただろうか。
服を脱がされたの、
と。
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