- 3 - 慎一郎 二十九歳

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【2】 狡さと利己的  大変な事をしてしまった、 という思いとは裏腹に、 ばれないだろうか、 人に知られたら、 自分はどうなってしまうのだろうかという、 身勝手な思いも同居する。  利己的で狡い自分、 けれど心底申し訳ない気持ちもあって――  正直、 父の葬儀だというのに、 気持ちは亡き人では亡く、 自分がしでかそうとしたことばかりに向けられてしまう。  気もそぞろになっていたので、 周りの人間のことなど、 どうでもよくなっている。  ただ、 秋良の事ばかり気になっている。  彼女は、 気付いただろうか……親に話しただろうか。 服を脱がされたの、 と。
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