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時々、
ごく稀にだったけど、
母に引っ張られるように、
慎一郎お兄さんも同行した。
一緒にお出かけすることはあまりなかったし、
裕もお兄さんが大好きだったので、
一日で二度、
得した気分になった。
ただ、
悔しかったのは、
裕が秋良より慎一郎に懐いていたこと。
「どうして?」
膨れ面をする秋良に、
母は
「あなたは小さくて抱っこも高い高いもできないでしょ」
と言う。
自分も早く大きくなって、
お兄さんと同じくらいになりたい。
聞いた大人たちは一瞬黙り、
次には盛大に吹き出した。
慎一郎は困った顔をしている。
というのも、
彼は日本人としては珍しい長身の持ち主で、
大学へ入ってからも一cm、
また一cmと高さを伸ばしていたからで。
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