- 2 - 秋良 六歳 #2

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 慎一郎はただ微笑んでいたっけ。 「私がなるから」  野辺送りを済ませ、 各々の家への道すがら、 無言で歩いていた水流添一家と慎一郎は、 秋良の脈絡のない一言に一斉に彼女を見る。 「私が裕の代わりに空飛ぶから。 まかせて!」  一瞬、 呆け、 こんな時に何を言っているの、 この子は、 と諭す母の声がする。  けれどかまうもんか、 秋良は慎一郎を見上げて再度言う。 「私がパイロットになるから」  慎一郎は何も言わず、 目を伏せ、 うんうんと頷いた。  
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