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慎一郎はただ微笑んでいたっけ。
「私がなるから」
野辺送りを済ませ、
各々の家への道すがら、
無言で歩いていた水流添一家と慎一郎は、
秋良の脈絡のない一言に一斉に彼女を見る。
「私が裕の代わりに空飛ぶから。
まかせて!」
一瞬、
呆け、
こんな時に何を言っているの、
この子は、
と諭す母の声がする。
けれどかまうもんか、
秋良は慎一郎を見上げて再度言う。
「私がパイロットになるから」
慎一郎は何も言わず、
目を伏せ、
うんうんと頷いた。
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