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偉い学者様、
とはよく言ったもの。
父の願いを、
自分の夢にすり替え、
咀嚼して目標に据えてから、
慎一郎は生き直した。
夢のままではいけない、
叶える、
などという甘いことではいけない。
なるのだ、
生き残りが難しいアカデミックな世界で、
自分の立ち位置をしっかりと作る。
必ず教員になれる保証のない大学生活は、
スタートした。
尾上の家とは相変わらずの没交渉。
同居しているわけではないので気楽だった。
法事の時には末席ながら呼ばれるだけましといったところか。
高校とは違い、
大学はいろんな人種がやってくる。
出会いも増える。
人と交わることを好んだ父母だから、
自分もそうありたい、
と願ったわけではなかったが、
不器用ながら人の輪づくりをし、
悪友と呼べる類は呼ぶという友、
仲間もできた。
普通に話せる友人も増えた。
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