- 3 - 慎一郎 二十九歳 #2

2/35
前へ
/35ページ
次へ
 秋良の母の言葉に我に返った。 「これから、 毎晩、 夕ご飯は私が用意します。 うちへ食べにいらっしゃい、 と言いたいところだけれど、 そこまで縛れないし。 あなたにも都合や予定があるでしょ。 だから、 秋良に持って行かせますから。 食べ終わったお皿は帰りに返してくれればいいわ」  何でそういうことになるのだ。  縛るも何も、 秋良が出入りする時点で十分に制限を受けてしまう。  幼稚園児の出前だなんて、 断じて受けられない。  幼い子のお手伝いの範囲を越えすぎているのではないか?  慌てて固辞する慎一郎だが、 秋良親子は、 まったく意に介さず、 「明日、 夕方にこの子を行かせますからね」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加