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と言いおいて、
かごも置いて、
帰ってしまった。
「また明日ね」
バイバーイと手を振る秋良に手を振り返してしまう慎一郎、
己の手を見て我に返り、
明日のお断りをしようと追いかけた親子の、
手を繋いで歩く後ろ姿に既視感を覚えた。
あまり子供らしくなかった自分でも、
同じように母に手を引かれ、
鼻歌を歌いながら帰路についた夕べがあった。
幸せな時間。
懐かしくて、
つんと鼻の奥が痛くなる。
あの母子が持ってきた食事にも、
その家庭の幸せの記憶が詰まっているのだろう。
深く、
礼をして、
慎一郎はふたりを見送った。
その日のメニューは、
子供が喜びそうな総菜が並んでいた。
量だけは大人サイズで、
平らげるのに、
慎一郎は少し苦労した。
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