- 慎一郎 二十九歳 #3

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 大学院はありがたいことに最低年限で無事終了できた。 単位満了ではなく、 それぞれに学位を授けられてのことで、 博士号の称号を得て一つの区切りがつく。  大学院卒業後、 そのまま講師としての就職も考えた。 けれど、 指導教官や父と懇意にしていた諸先輩・教授達の勧めもあったので、 遊学と言う名の留学をすることにした。  父も通っていたという、 かの文豪や日本の草創期を支えた政治家の面々も在学生として名を連ねるロンドンの大学院へ。  出立の日、 空港へ見送りにきた秋良は高校へ入学して日が浅い頃だった。
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