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利発そうな顔をした彼は、
岡部仁と名乗った。
迎え入れたダブ・コテージでは、
元々の住まいであるかのように振る舞い、
住人とも打ち解けた。
舌を巻いたのはその語学力で、
小学生低学年でありながら、
いや、
子供だからなのか、
完璧なキングス・イングリッシュをしゃべった。
年相応以上の会話力と語彙で、
会話だけ聞く限りではネイティブと遜色なかった。
落ち着いて見えたのには理由がある。
耳打ちされた話は全く明るいものではなかった。
英国へ語学留学していた仁の、
日本にいる母親が亡くなったという。
本来なら即日本へ帰国するところを、
英国お馴染みのストとぶつかってしまい、
空港等の交通機関が麻痺してしまった。
慎一郎の元へ寄越されたのも、
とうてい母親の葬儀には間に合いそうもないから気晴らしを、
と思った回りの大人達の配慮というのが真相だった。
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