46人が本棚に入れています
本棚に追加
「好きになって良いのだと伝えた。
――嬉しそうだったよ」
慎一郎の目から、
涙が一筋、
また一筋、
溢れてきて床に染みを作る。
自分達兄弟は、
打ち解ける日は来ないかもしれない、
けれど、
裕は、
雪解けを待っていたのだ、
父と叔父との。
みんな仲良くして欲しい。
それを言うためだけに産まれてきたというのか、
彼は。
たった三歳、
まだまだ幼い子の人生は。
遺された者達は、
嘆くだけではだめだ。
彼の思いを汲み取らなくては。
けれど、
今日は――無理だ。
だって昨日まで、
普通に元気に生きていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!