- 慎一郎 二十九歳 #3

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 何故だろう、 自分の周りにはどうしても死が付きまとう。  父母は亡く、 甥は幼くして死に、 母を喪って泣く少年が目の前にいる。  出会いと別れは表裏一体、 生きていく上では避けようがない。 死者を悼みつつ、 今、 生きている人たちとの繋がりも大切にしたい、 彼もそう思って欲しい。  今はまだ、 わからないだろうが――  彼の未来に幸多かれと、 慎一郎は願った。  交通機関のストは翌日には解除になり、 混乱の中、 その翌日に仁は出国した。  いつか会うこともあるだろうか。 それまで元気で。 見送りながら慎一郎は思ったが、 後にこの少年とは母校で教え子として再会、 少なからぬ縁を結ぶのだが、 この話は随分先のこととなる。    仁が駆け足で現れて去った以外は、 学校生活は恙無く過ぎていった。
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