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何故だろう、
自分の周りにはどうしても死が付きまとう。
父母は亡く、
甥は幼くして死に、
母を喪って泣く少年が目の前にいる。
出会いと別れは表裏一体、
生きていく上では避けようがない。
死者を悼みつつ、
今、
生きている人たちとの繋がりも大切にしたい、
彼もそう思って欲しい。
今はまだ、
わからないだろうが――
彼の未来に幸多かれと、
慎一郎は願った。
交通機関のストは翌日には解除になり、
混乱の中、
その翌日に仁は出国した。
いつか会うこともあるだろうか。
それまで元気で。
見送りながら慎一郎は思ったが、
後にこの少年とは母校で教え子として再会、
少なからぬ縁を結ぶのだが、
この話は随分先のこととなる。
仁が駆け足で現れて去った以外は、
学校生活は恙無く過ぎていった。
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