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同時期に渡航した同郷人の中には早々に帰国した者もいた。
何人も見送った。
風土だけではなく、
様々な要因を理由に、
脱落していった。
慎一郎はといえば、
海外の水や空気は性に合うようで、
現地の生活に馴染んでいく。
留学中は一切帰国せず、
休暇中は一人で、
あるいは友人に誘われて英国中や欧州を旅して回った。
母と訪ねた経験が殊の外役立ち、
友人達に重宝がられたのは言うまでもない。
留学が終われば、
針の穴に象を通すような、
難しい日々が続く。
今は遊学を堪能してもいいのではないか。
肩を並べて歩く友人達とも、
これきりになるかも知れないのだから。
楽しもう。
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