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まだ春と言うには早い頃、
吐く息は白い。
震えは寒さからか、
高ぶった気がさせるのか。
一糸纏わぬ秋良の肢体は、
白かった。
目の前の姿から目が離せず、
慎一郎は秋良の視線を受ける。
見てはいけない、
早く、
彼女に服を着せなくては。
このままでは風邪をひく。
的外れなことを思いつつ、
やはり魅入ってしまう。
彼にとって、
女の身体は物珍しくない。
過去に接した女たちより、
成熟にはまだ遠い、
けれど少女でもない秋良は、
美しかった。
美しく育ったことを悦び、
小父としてより、
男、
雄としての目で見ている自分がいた。
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