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アカデミックな世界は私達では測りようのない難しさがあるのだわ。
隣が慌ただしく、
椅子や机を動かす音がして、
異口同音に「失礼します」と言いながら足音賑やかに退出する様子が伝わってくる。
課外授業は終わったようだ。
「タンホイザー先生、
また!」
歯切れ良い声音の子の挨拶を最後に、
隣は静かになる。
タンホイザー? 何のことかしら。
秋良が首を傾げた時、
「秋良君、
待たせたね」
と声がした。
彼女は彼の招きに応じ、
カップを手に隣室へ向かった。
そこでは、
慎一郎がカップのセットを片づけている。
今度は言える、
「後は私が」と。
軽く会釈した慎一郎の後を受けて、
洗い物をしながら秋良は言う。
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