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「それで慎一郎さんのところへお話が来たんですね」
「私でも応えられる内容だからね、
今は。
が、
いずれ他の講師なり教授にバトンタッチすることになりそうだな。
うちの学校に置いておくのはもったいないぐらいだ。
大学は専攻に強いところか国公立を考えるように言っているよ」
「あら、
ご自身はどうでしたの?」
慎一郎は苦笑で応える。
幼稚舎から通う学校へ大学まで残った彼だ。
さすがに大学院は公立へ進んだが、
留学の後、
就職先に選んだのは白鳳。
彼は自覚している、
心から母校を愛していると。
余所へ移ることは一切考えていないだろう。
だから、
こだわるあまり昇進が遅いのだ、
と父さんが言っていたわ。
年の巡りで教授層が厚く充実した白鳳では、
これ以上の教員の増員や補強はあり得ないと。
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