- 5 - 転換点

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「こんなに立派な一室をあてがわれているのになあ……」 「扶桑館に一室持つは、 我ら憧れの対象だったんだけどな」  宗像に続き、 蛯名も肯定した。  問われても、 慎一郎には明朗な解答などない。 今では定番になっているアルカイックスマイルを浮かべる彼に、 あえてぶつけるように田中は言った。 「何が悪いんだろうな」  室内に、 ページプリンターが出力を急ぐ音がする。   「理由ならひとつではないだろうさ。 けど、 今の白鳳はそんなに人材の層が厚いようには見えないからな。 何かヘマでもしたんじゃないか、 とか、 下世話なことも考えたりするね」
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