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また拒まれたら――私は壊れてしまう。
彼から拒絶の言葉も聞きたくない。
揺さぶって欲しくないのに、
何故、
他の男性を紹介しようとするの。
もう――どうでもいい。
三十の声が聞こえる今、
流石に見合い話は来なくなった。
でも、
他に優しい人がいたら、
愛せなくても好意が持てれば、
穏やかな家庭が営めるのではなかろうか。
慎一郎さんを忘れさせてくれるなら、
誰でもいい。
慎一郎が仕事や自分の思いに苛立ち、
秋良が諦めを持った時、
彼女に久方ぶりに見合い話が舞い込んだ。
「滅多にない良縁よ!」
身内でも有名なお見合い小母さんの口癖だが、
「今回は本当に本当よ」と鼻息が荒い。
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