- 均衡 #4

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- 均衡 #4

 疲れた――と、 慎一郎は思う。  誰か彼女を奪ってくれないか。  僕の目の前から連れ去ってくれ。  そうすれば、 僕も諦めがつく。  ……いや、 そうだろうか。  現実になったら、 焦り、 苦しくてたまらなくなるのは目に見えている。  上司から秋良をご子息に紹介してくれと頼まれた時、 バカ正直に秋良に伝えた自分に嫌気がささなかったか。  秋良を愛しているのに。    あの人の隣に誰か別の人がいたら、 奥様がいたら忘れられたのに、 と秋良は思う。  そんなこと望んでいないけれど、 でも、 今のままは辛い。  もう、 若い頃のように、 彼にぶつかる勇気もない。
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