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武は横山へ言い、
横山は首肯する。
「どれ、
僕は彼らにハッパ掛けに行ってくるかな。
ではね、
また今度」
言って武は退室した。
残された慎一郎と横山は、
しばし、
どちらが語るでもなく対峙した。
呼ばれた意向を聞くべきか、
ここは待つか、
出方を伺っていた頃、
横山は語り出した。
「イチロー・カルテットと呼ばれていたのかね」
「は?」
「武先生から伺った。
今度、
彼らと共著で本を書くそうだな」
「はい」
「田中君と蛯名君は都内で、
宗像君は確か海外から帰ってきたばかりで、
それぞれ教授職を勤めているとか」
三人が揃った席で言われた事にも繋がる。
慎一郎だけ助教授で格が揃わない。
それはわかりきったこと。
彼ら三人より、
慎一郎が一番据わりの悪い思いをしている。
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