- 5 - 転換点 #2

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「横山先生、 お呼びとのことで――」 「もう二十年以上になるのか――」  慎一郎の言を、 聞こえていないように横山は話の主導権を握る。  だから、 横山とは折り合いが悪いんだ、 と慎一郎は内心で舌打ちする。 人の話を聞かず、 一方的に話をし、 噛み合わない。 「恩師から国際電話が来た。 当時、 自分はアメリカで授業を持っていた。 日本にはしばらく帰っておらず、 現地の様子はほとんど伝わっていなかったから、 恩師の電話には驚いたし、 嬉しかった。 大変お世話になった、 師匠と言ってもいい方だったから、 不義理を詫び、 話せるのを楽しみだと伝えた。 師は、 話題豊富で、 刺激を受ける唯一の人だったから。 いつもの論戦が聞けるのかと思ったが、 そうはならなかった。 病気だと言う声の衰えはひどいものだった――」
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