- 5 - 転換点 #2

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 慎一郎などいないかのように、 話は続く。 「溌剌とした師が、 電話の向こうで言うのだ、 自分は息子の夢を打ち砕いた、 我を通して、 伸びる芽を摘んでしまった、 と。 そして、 自分には寿命がない。 若い彼が同じ道を歩んでくれたら、 教えたい事、 伝えたい事が山程あるのに、 まだ彼は高校生、 それも叶わない、 と。 しわがれた声でおっしゃる、 無念だ、 と」  横山は鋭い目で慎一郎を見据える。 「私の恩師は、 尾上慎。 君の父上だ」  慎一郎は驚きの表情を浮かべる。 その反応に満足したかのように横山は続けた。  
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