- 5 - 転換点 #2

7/35
前へ
/35ページ
次へ
「私は、 自分で言うのもおこがましいが、 先生の最後の弟子だと思っている。 大層厳しく鍛えられたが、 先生の教えが今の自分を作って下さったようなものだ。 その人生の師が、 今和の際に私におっしゃった、 もし、 息子が、 自分と同じ世界で身を立てようとしたのなら、 後事を託したい、 自分ができなかったことを与えてくれないだろうか、 と。 否応もない、 お受けする、 任せて下さい、 と即答した。 それから程なくに先生は亡くなられ、 私は通夜や葬儀にも出席できず、 線香を上げにご自宅へ伺えたのはかなり後だった。 君はその頃は――」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加