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「私は、
自分で言うのもおこがましいが、
先生の最後の弟子だと思っている。
大層厳しく鍛えられたが、
先生の教えが今の自分を作って下さったようなものだ。
その人生の師が、
今和の際に私におっしゃった、
もし、
息子が、
自分と同じ世界で身を立てようとしたのなら、
後事を託したい、
自分ができなかったことを与えてくれないだろうか、
と。
否応もない、
お受けする、
任せて下さい、
と即答した。
それから程なくに先生は亡くなられ、
私は通夜や葬儀にも出席できず、
線香を上げにご自宅へ伺えたのはかなり後だった。
君はその頃は――」
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