- 5 - 転換点 #2

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 クスリ、 と笑う横山。 「君は、 私が厳しいと待遇に不満を持っていただろうが、 自分が先生から授けられた方法そのままで接してきたつもりだ。 おそらく、 今の君の立ち位置なら、 こうされたのではないか、 と思われることを――先生がご存命ならね。 見込みがあれば鍛え、 なければ潰す。 あの方は、 脱落した者に手を差し伸べる優しさはない、 本当に厳しい方だったが、 登り切った先にある世界を自力で掴もうとする者には、 惜しみなく高みに引き上げて下さった。 私にそれができているかどうかはわからないが、 私の着任の前と後とでは内外共に実績に差が出ているのは君自身実感しているだろう。 例えば、 今回の本の執筆ひとつとっても言えるのではないかな」
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