- 転換点 #3

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 カタン、 と金具が触れ合う音がした気がしたので、 秋良は視線を階下へ落とした。  自宅の前で、 門扉に手を掛けている人の姿に目が釘付けになる。  日本人としては並外れた長身の、 彼女が知っている人といったらひとりしかいない。  何もかも許せる唯一の人。  カーテンを握り締め、 知らず名を口にしていた。 「慎一郎……さん?」  あなたなの?  彼女の声に応えるように見上げた相手は、 一瞬、 驚いた顔になる。  門扉に手を掛けた慎一郎は、 秋良の視線から目が離せない。 何度見たかわからない、 物問いた気な慕わしさを語る瞳。  今も、 その目で僕を見てくれるのか。
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