- 転換点 #3

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「どうしてこちらに……?」  両頬を掌で愛しそうに抱えられ、 見つめられながら秋良は問う。 「君との約束を果たしに来たんだ」 「……約束……」 「偉い学者になると――忘れたかい?」  柔らかく微笑む彼。 初めて見るような笑顔だ。 温かくて慕わしい。 「いいえ、 あなたがイギリスへ行く前の」 「そう、 空港で、 高校生だった君とした約束。 忘れたことはなかったよ、 君は――」 「言いました、 私、 あなたを待ってます、 と」 「長い間待たせてしまった。 やっと、 君を迎えられる」  彼女の髪を、 背を、 撫でる掌は温かく強い。
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