- 転換点 #4

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 父の遺骨を一緒に納骨してからは、 海外に留学中以外は欠かさないように通った理由のひとつに、 彼が着く前に供えられている新しい花の存在があった。  何年も何年も、 それこそ十年二十年経っても続いている習慣に、 故人への思いが伺えて、 供えた人に共感を覚えた。 何度かそれらしい人と擦れ違う事もあった。 年齢は父に近い年頃の紳士だった。 いつしか、 彼は他人ではなく自分と近しい人なのでは、 と思うようになった。 どこかで会ったような気がしたから。 誰何はせず、 目も合わせず、 気付くと会釈するだけ。 話したことはない。 会う度老いていく人に、 もしかしたら高遠の人ではないか、 と思うようになった。
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