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【7】 過去との邂逅
早朝でも、
墓やお寺の近くの花屋は開いている。
自宅で手早く身支度を調えて、
慎一郎は花を買い、
母と、
分骨した父の遺骨を預けている納骨堂へ向かった。
高輪の家からは近い。
大きく新しいものが好きだった母が、
東京タワーの建設を予定されていた頃に祖父母が遺した地所へ建てたという家。
更にタワーが近い所で眠っているのだ、
宗教心ゼロのあの人も、
悪く思ってはいないだろう。
父の死後、
水流添家の人達から、
初めて初詣に誘われた時、
喪中も忘れて快諾したのは、
行き先がこの寺だったから。
重なる時には重なる。
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