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父の遺骨を一緒に納骨してからは、
海外に留学中以外は欠かさないように通った理由のひとつに、
彼が着く前に供えられている新しい花の存在があった。
何年も何年も、
それこそ十年二十年経っても続いている習慣に、
故人への思いが伺えて、
供えた人に共感を覚えた。
何度かそれらしい人と擦れ違う事もあった。
年齢は父に近い年頃の紳士だった。
いつしか、
彼は他人ではなく自分と近しい人なのでは、
と思うようになった。
どこかで会ったような気がしたから。
誰何はせず、
目も合わせず、
気付くと会釈するだけ。
話したことはない。
会う度老いていく人に、
もしかしたら高遠の人ではないか、
と思うようになった。
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