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「そうして今のあなたは四十過ぎよ、
思い込みが強すぎるのよね、
もっと気楽に生きなさいな」
道代は、
背伸びして、
ぱんぱんと彼の肩を叩く。
「はじまりは、
憧れだったと思うんですよ、
――いえ、
あの子の初恋だったんでしょうね、
嬉しかったんでしょうねえ……。
昨晩、
あんなに泣くなんて。
私もびっくりしたわ」
慎一郎君、
と道代は向き直って言う。
「過去の出来事は、
なかったことにはできません。
でも、
私も長くあなたの事を見ていますから、
どんな人なのか、
私なりに判断できるの。
だからお願い、
あの子を、
宜しくお願いします。
大切にしてやって下さい。
強情で困った子だけれど、
一途に、
あなたを心から慕っているの。
本当に……」
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