- 転換点 #4

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「君には、 ひどいと言われ通しだ」  慎一郎は苦笑する。 「本当は、 君が気に入りそうな、 気の利いたものを買ってやりたかった。 でも、 昨日は間に合わなかったから、 形見を持ち出したんだが……。 故人の品が嫌なら改めて……」  『買ってあげる』確かに昔、 何度も言ってくれていた。 本当に覚えてくれていたんだ。 「イヤです」  秋良は、 わざと口を尖らせて言う。 「これじゃないと、 イヤ。 返せと言われても返しませんから」 「君の姑になったかもしれない人の品でも?」 「尚更、 返す気はありません」  すっと腕を伸ばし、 改めて指を彩るリングに見入る。 迷わず左の手の薬指にはめてくれた、 彼の気持ちが嬉しかった。
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