- 転換点 #4

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 その時はたくさんの口付けを君に贈ろう。 若い頃の激情とは違う、 暖かな悦びに満たされる時を重ねていこう、 ふたりで。  僕たちは夫婦になるのだから、 と。  その夜、 ふたりは時も忘れて語り合って過ごした。  翌朝、 彼女の母が客間で見たものは、 柱にもたれて微睡む慎一郎と、 布団の中で寝こける娘。 その距離は見事に部屋の端から端まで離れていた。  道代が襖を開ける気配に即目覚めた彼に、 「本当に、 あれでいいの? 慎一郎君、 後悔はない?」とこぼした。  お世辞にも麗しい寝姿とは言えない秋良の様子に、 「寝相が良くないのは、 子供の頃から知っていますから」  と、 至って平静に返す慎一郎。
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