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【6】 歯車は動く
眠っている秋良を起こさないよう部屋を出た慎一郎は、
「一旦自宅に戻りますので、
用が済みましたら再度伺います」
と言い置いて水流添家を後にした。
その彼を、
ぱたぱたと、
道代が追い掛けてくる。
「慎一郎君、
足が早いのね」
「道代さん?」
足を止め、
彼は、
すみません、
と一礼した。
そして「何か?」と問う。
「折り入って話があるの。
他の人には聞かれたくなくて。
駅までの間、
少しいいかしら」
「はい、
もちろんです」
慎一郎と道代のでこぼこコンビはしばし無言で歩を進める。
「あなたに、
聞きたいことがあって」
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