- 転換点 #4

26/35
前へ
/35ページ
次へ
【6】 歯車は動く 眠っている秋良を起こさないよう部屋を出た慎一郎は、 「一旦自宅に戻りますので、 用が済みましたら再度伺います」  と言い置いて水流添家を後にした。  その彼を、 ぱたぱたと、 道代が追い掛けてくる。 「慎一郎君、 足が早いのね」 「道代さん?」  足を止め、 彼は、 すみません、 と一礼した。 そして「何か?」と問う。 「折り入って話があるの。 他の人には聞かれたくなくて。 駅までの間、 少しいいかしら」 「はい、 もちろんです」  慎一郎と道代のでこぼこコンビはしばし無言で歩を進める。 「あなたに、 聞きたいことがあって」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加