- 転換点 #4

28/35
前へ
/35ページ
次へ
「秋良君は、 無垢です。 それは信じて下さい。 でも、 やましい気持ちで彼女に接しかけたのは事実です。 だから――」 「自分は潔白だとごまかさないのね、 不器用なあなたらしい。 最初はね、 あまりあの子があなたに執着するから、 本気で疑ったの。 秋良がひとりで勝手に動かないよう、 見張っていたんですよ。 けれど……あの子の態度は何というか……」 「尻尾振って甘える仔犬のようで、 無下な仕打ちはできませんでした、 大切に慈しむことしか……。 反面、 僕は、 目的のためには手段を選ばない人間なのだと思い知りました。 だから、 秋良君の気持ちは昔からわかっていましたが、 応えられなかったんです、 彼女に相応しい人間になるまでは、 と」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加